夏季宿泊研修会 教育講演会

安房教育研究所

2005年8月23日

 

1 演 題  『確かな学力と学習力を育てる 新しい学習メソッドの展開』

 

2 講 師   階 玲 治 先生(教育創造研究センター所長)

 

3 講演内容

(1)学力形成と「成果」重視

  ・授業マネジメントの基本は「成果」をあげることであり、それが説明できなければいけない。  

      ↓         

    成果をはっきりさせる

    学力を上げるにはやり方を変える

    人材を養うのは教育である

 

 @国際教育競争時代と学力向上

  ○「ゆとり」から「学力向上」への転換

      ↓

    バブル時の学生は与えられた問題にしか対処できない

    日本の学力は1991年にはトップだったが、2002年には30位まで下がる

    人材も日本は下がっている → 教育があらゆるものの基盤であり、教育で人を育

                 てる必要がある。

    学習内容削減 →<世の中とのギャップ>→「発展」を入れる

              ↓

   今後の見通しとして、学習内容が増え、特活・道徳が一つになる可能性がある。

   また、指導要領の改訂(部分改訂)が早まる可能性があり、総合の時間も減りそうである。

    制度を変えても学力は上がらない → 子どもの学びが変わってきている。

子どもの学びを変える必要がある。

                         ↓

                    日本の知識は生きた学力になっていない。

    知識をどうこなすか、知識を応用する能力をつける必要がある。

    自分を主体にして考える訓練が必要である。

 

 A学力向上の阻害条件

    勉強しない子が増えている → 高校生はあまり学習しない。小学生も少ない

                        ↓

               テレビ漬けの状態がある。(指導効果があがらない)

    テレビを長く見ている子どもは授業がわからない。

    睡眠不足の状態では理解度も低くなる。

    子どもの生活調査によると生活のリズムが崩れている。

         ↓

授業以前に生活指導が必要

  ○子どもの学習意識に関するアンケート

  ・勉強は大切だと思う(80%以上) → しかし、勉強が好きだ(20%程度)

  ・「もっと勉強しておけばと後悔」 → 小学生5割、中学生7割、高校生8割

 

 

(2)確かな学力と学習力を育てる  

 

@学習力こそが学力を支える

    子どもは学習の仕方がわかっていない。

         ↓

  教師は学習の仕方を教える必要がある

  ・朝食を「必ずとる」と答えた子の方が成績がよい

    持ち物を「必ず確認する」と答えた子の方が成績がよい

         ↓

     授業への心構えができている

  ・「予習タイプ」の塾の方が成績がよい

           ↓

      宿題も予習の方がよい

  ・塾に行かない「自学タイプ」も成績がよい

 

 A自学自習ができる子への条件

  ○勉強のめあてがわかる(目の前の明日の勉強)

  ○勉強する内容をある(ワーク、ドリル、参考書等)

    勉強のやり方がわかる(チャレンジ) → わからないところに気づく

                          ↓

                      わかった喜び

    勉強をする時間(15分×学年)

        ↓

毎日やるという学習習慣をしっかり身に付ける

 

(3)子どもと創る新しい授業の展開

 

 @めあてを単元の最初に子どもに伝える

  評価規準を子どもに伝わるように短く、具体的に示す

          ↓

  単元の1時間目を使ってオリエンテーションをして、子どもといっしょに学習計画を作る。子どもには自分でやれることは何かを考えさせる。教科によって学び方が違うので、それぞれの学び方を教える。

 

 A教師の言葉かけ(ほめる・認める・励ます・アドバイス)

          ↓

  家庭でやってきたことに対してほめる(学習意欲の促進になる)

 

 B日本の子どもは自己評価が低い

  自信を持たせる教育が必要。自尊感情や自己肯定感を高める。

 

 C授業における教師の学習支援の考え方

    学習意欲の促進

    開発学習材の提供

    目標達成促進

 

 D子どもの視点から考えた学びの要素

  生活基盤 ― 学習基盤 ― 学習方法 ― 学習内容 ― 目標

 

 E勉強する時間のバランス(15分×学年がよい)

  学習習慣をつける → セルフコントロール(自己管理能力)がつく。

  学習の場づくり → 学習に集中できる環境をつくる

 

 F今の子どもたちが更に伸びるために(今後必要な力)

    コンピュータ操作能力(情報化社会)

    英会話(国際化社会)

    問題解決能力