安房教育研究所創立50年教育座談会
『安房教育を考える』をテーマに研究討議



 今年創立50年を迎えた安房教育研究所(所長 粕谷栄俊健田小校長)の教育座談会がこのほど,館山市北条の安房教育会館で開かれた。「安房教育を考える ―教職員の指導力向上を求めて―」をテーマに教育関係者をパネリストに迎え,「安房教育」をキーワードに研究討議した。

 パネリストは嶋田五月(房総の会会長),出山裕之(丸山中校長),菰田延夫(七浦小教頭),遠藤忠(白浜中教諭),相良和久(館山三中教諭)の5人。

 討議は子どもや教職員との出会いから安房教育への思いを語り合うことから始まり,教育の現状の変化や
教育論議を踏まえつつ,安房教育の抱える変化と問題点を考えた。その上で,これからの安房教育のあり方と安房教育研究所の果たす役割について語り合った。

 安房の地域に根ざした優れた実践を積み重ねた先輩からの教えや若い時代に研究を通じて鍛えられた思い出から,豊かな地域の自然・歴史・文化を生かした教育実践の必要性が指摘された。これまでの安房教育の優れた伝統を継続するとともに,教育機関の再編,市町村合併等の時代の変化に応える新たな安房教育の創造が求められた。

 教職員は多忙化の中で学校内のことに追われているが,幅広い視野に立ち,地域の一員として社会体験やボランティアに努めることが大切である。つまりは「異なものとの交流」が教育の深まりや高まりを生むとの意見が出された。厳しい経済環境の中での企業努力を例にあげ,教職員も教育のプロとして専門性を磨き,外部からの批判に十分応えられるように努力をすべきだ。授業で勝負できるようにスリルとサスペンスに富んだ授業の展開を目指そうとの話があった。

 安房の教職員は40代,50代が4分の3を占め,教職員の入れ替わる時期を迎えることから,若い教職員の育成の必要性も指摘された。先輩教職員として情熱と使命感を持って子どもの指導にあたり,自分自身が育つとともに,周りの教職員を育てる実践が必要である。各年代のニーズに応じた研修が必要であり,安房のチーム研究のよさを生かそう。教職員が相互に刺激し合い,お互いに元気が出る職場づくりをしよう。そのためにも,安房教育研究所で研修した成果を所員自らが各学校に持ち帰り,校内の実践に生かそうとの確認がなされた。

 これからの安房教育を考える熱気を帯びた協議内容に,参加者も引き込まれ,新たな決意に身を引きしめている様子であった。